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このように日常的に着用する人も、

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SHIPS なんばパークス店

2022 08 Nov

Suit ≠ Set Up

 
スーツと聞くとどのようなイメージを持つだろう

 

 
"ビジネス"
"結婚式"
"正装"
 
 
このように日常的に着用する人も、
そうでない人も恐らく、カジュアルやスポーティなイメージを抱く場合は少ないだろう。
 
そんな中、SHIPSでも人気があるのがセットアップ。
スーツ程堅苦しくなく普段着からビジネススタイルまで幅広く活用出来る。
そんな万能とも思えるセットアップが人気なのは必然であると感じる。
 
 
では、
 
 
スーツをカジュアルに着ることは不可能なのだろうか?
 
 
そんな疑問が天邪鬼な性格のせいか浮かんでくる。
 
 
 
今回は正解例とまでは行かないがあくまで参考程度に
当店のカジュアル担当、スタッフ木下を例に挙げてお話していこうかと。
 
 
 
仲の良い友人の結婚式で受付を頼まれ、
その際に着用するスーツが必要との事。
 
 
 
 
彼の普段のスタイリングは
新進気鋭のドメスティックブランドから古着まで幅広い。
 
 
 
 
 
通常であればフォーマルの装いに相応しい、煌びやかな素材、
もしくは英国的でクラシックな構築的な形を提案するのだが、
 
 
折角であれば洋服屋の後輩に
日常的に、自身のスタイルに溶け込む様なそんなスーツを仕立てたい。
 
 
 
そんな個人的な願い?も込み込みで
SHIPSで展開しているカスタムオーダーでスーツを作成する事に。
 
 
 
まずは生地選び。
これこそオーダースーツの醍醐味。と言っても過言では無い程重要な工程。
 
 
 
 
数あるバンチブックの中から一枚の生地を見つけ出す。
 
 
  
 
 
カレとワタクシで絞ったのはこちらの生地。
 
 
DORMEUIL
 
 
言わずとしれた名門ファブリック。
英国生まれでありながらフレンチシックなムードを感じさせる
そんな生地ブランドです。
 
品の良い艶でありながら主張し過ぎない。
纏った際のドレープで高級感を感じる。そんなイメージ。
 
 
それ故にスーツやジャケットだけで無く
アウターやカジュアルウェアにまで幅広く使用されているのも納得です。
 
 
 
 
その中で更にAMADEUS365という
名前の通り
365日着用することが出来るシリーズ。
 
 
明言はされていませんが、
その言葉の中に耐久性や着心地の他に
飽きの来ない、
着用した人に生地が馴染むイメージが湧きます。
 
 
そんな、同社の中でも色褪せない定番である
1冊のバンチブックに候補を絞り
 
 
 
 
まさに”フレンチ!”と声を揃えたコチラの生地をチョイス。
 
ミディアムグレーのお手本の様なこの生地。
 
 
この小さい生地を触るだけでも風に揺れるスーツスタイルが目に浮かびます。
 
 
この時点で2人ともかなり体力を消耗しています。
 
お互い、冷静な判断が出来なくなっていると察し、スーツの形などは後日に持ち越し。。
 
 
 
 
そして後日、鋭気を取り戻し
イメージも最大限に膨らませ挑んでいきます。
 
 
贅沢な生地を使うからこそシンプルで、これ見よがしな飾り気の無い物にしよう。
 
 
今回のシチュエーションは友人の結婚式の受付。
 
 
高級な生地と身体に合ったシンプルな形のスーツであれば、どんなに着飾ったコーディネートや
奇を衒った色や柄よりも、その人を品良く見せてくれるはず。
 
 
そんな事もあり形はシンプルに、ボタンは少し捻りを加えベージュトーンの水牛ボタンに決定。
 
 
 
 
そしていよいよ形決め
 
 
選んだのはシングルの3つボタン段返り仕様。
SHIPSのオリジナルスーツもこの形がメイン
 
 
サイズは46をチョイス。
カレの体型からすると44というサイズも選択肢としてあるのだろうが
今回はワンサイズ上げて46、更に身幅から蹴回しまでを広げていく。
 
 
何故サイズをアップさせているか。それはカレの体型や骨格に関係してくる。
カレは、所謂いかり肩で学生時代にスポーツをしていた影響で首周りもしっかりとした骨格。
そして反身と言われる少し胸が張った体型。
(ちなみにワタクシはカレと真逆の、なで肩+屈伸体。俗に言う猫背。)
 
 
そんな体型のカレに、ウエストの絞りを強くしたタイトなジャケットを勧めるとどうなるか。
 
 
恐らく胸の辺りが開き、腰辺りに不自然なシワの入ったスーツを着て
窮屈そうな顔をした姿が鏡に写っているだろう。
 
 
こうなる事を避ける為にサイズを上げ絞りを緩めていきます。
ボタンを開けた状態で窮屈では無い自然なくびれができ、スタイルをよく見せます。
 
 
また、身頃高と呼ばれる肩からアームホールに向け下がった様なデザインにする事で
軽く羽織った様な自然な見た目にしていきます。
 
 
そしてほんの少し、いかり肩と反身体の調整を行い、より身体を包み込む様な形にしていきます。
 
 
 
 
まだまだ長くなりそうなので
パンツの話に移行していきます。
 
 
先述したとおり身体のラインを強調させないジャケットを作成したので
テーパードの強く効いたシャープな組下だとバランスが崩れます。
 
 
その為パンツにも変更を加えます。
サイズベースは48、ウエストとヒップは限界まで小さくし、腰周りを絞っていきます。
 
 
そしてワタリ幅(太ももの付け根辺り)から裾にかけて逆に広くしていきます。
こうする事でストンと落ちる綺麗なシルエットのパンツが出来ます。
 
 
実はこの方法、広島店の名物スタッフの方が実践して作成されていたのを参考にしたもの
(詳しくはまた機会があればお話ししようかと思っています。)
 
 
そんなこんなで、ヘトヘトになりながら完成した
世界に1着だけのスーツが1ヶ月と少し、時間を経て
店舗に到着する。
 
 
ネクタイとタイを締め、スーツを着た彼は、
いつも以上に上品に、そして緊張に似た雰囲気を身に纏っていた。
 
 
写真を撮り忘れてしまうミスを犯してしまった為
皆様のご想像で補完して下さい、、、、スミマセン。
 
 
 
 
最初の問いに戻ってみましょう。
 
 
スーツをカジュアルに着こなすのは不可能なのか?
 
 
その答えはスタイリングを見ながら出して頂ければと思います。
 
 
  
 
 
ある種、面倒な工程や時間を費やして出来たカレの為だけの洋服。
普段のスタイリングに馴染みながらも佇まいから余裕や自信が垣間見れる。
 
 
スーツをカジュアルに着こなすのは不可能なのか?
 
 
カレからの返答は今後2着目、3着目のスーツやジャケットを仕立てる相談の有無で
判断しようと思う。
 
 
SHIPS なんばパークス店
蒲生