SHIPS なんばパークス店
2020
23
Apr
ショップスタッフの徒然日記 〜ステイホームオールデンの靴磨き〜
ブログをお読みいただきありがとうございます。
皆様、ステイホームの過ごし方はどのようにしておられますか。
私は家の掃除から始まって、たどりついたのは靴磨き。
実はですね、なにを隠そう、
苦手なんですよね、靴磨き。
服屋がなに言ってるの!?
って話なんですけどね。。
普段は最低限の手入れしかしないので、ステイホーム期間中に家にあるすべての靴を磨き始めることにしました。
靴磨きって、なんなんでしょうね。
例えると座禅を組んで精神統一。
心を無にしてひたすら磨く。
そして己の心と向き合う、
さらに靴と向き合って、靴の心を読み解く。
「なんでもっと早く手入れしてくれなかったの!
私、もともとは美肌なのにもう乾燥してカラカラになってるじゃないの!!」
読み解けば読み解くほど、靴はご立腹でした。
ごめんなさいね。。。
今日は少し手入れが難しいオールデンのコードバンレザーをベランダで磨きましたので、その工程をご紹介いたします。

因みに昨年、シップスでは「俺たちのオールデン」と題しまして、スタッフの私物オールデンをお披露目するコーナーがシップスサイト内でありました。
そこで動画にてオールデンの手入れ方法を掲載しております。
ぜひご覧になってない方は見てくださいね。
コードバンは手入れが特殊でその理由も含めて、
ここでは少しだけ動画では説明が無かったコードバン革の特徴など踏み込んだお話もしてみたいと思います。
簡単におさらいですが、コードバン、
農耕馬のお尻の皮のみを使用した、馬1頭から一足分ぐらいしかとれないとも言われるとても貴重な皮なんです。
オールデンのコードバンはアメリカのホーウィン社が皮から革へと、時間をかけ丹精込めて鞣して出来上がったものを使用しています。
では早速ですが、磨き初めます。

こちらまだ磨く前の状態。
傷もあり、光沢もありません。

まず、ステインリムーバーとコットンのリムーバークロスで汚れを落としていきます。

少しづつ布に取って、優しく拭いていきます。
そうです、ここがポイント、優しくです。
あまり強く擦ると、下地の起毛がめくれあがってきてしまいます。
ん?起毛ってなに?
はい、あとで説明しますね。

こんな感じで古くなったクリームが取れます。
この最初の汚れ落とし、上記の理由もあってか、ひとによっては頻繁にしないほうがいいという意見もあるようです。

では、クリームを塗っていきます。
俺たちのオールデン動画では、アニリンカーフクリームを使っていましたが、
私は久しく色を入れてなかった為、明るくなってきたので、
オールデン社純正のファインブーツクリームダークバーガンディカラーを使います。

これぐらい少量を指先に取り、
え?指で?
そーなんです、指のほうがクリームが浸透してるのがわかるので、
無駄にクリームを塗りすぎないってこともありプロの靴磨き職人を真似て指で塗ってます。

もちろんクリーム用ブラシを使うほうが一般的ですよね。
この他に布で塗るってのはおすすめではありません。
靴クリームは水と油とロウで出来ているんですが、布で塗ると油とロウ分だけが残ってしまうのだそうです。
では、ここから続きまして

このかっさ棒を使いまして、、、
かっさ棒?!
ご存知ですか?!
これ、ツボ押しなんかに使う健康器具的なものでして、
痛い痛い、、、!!って言いながらグリグリとツボをマッサージするやつですね。

なんと、お洒落に水牛の角で出来ていまして、
一見、高価に見えるんですが、
ネットで1000円くらいで買えます。
俺たちのオールデン動画ではモーブレイのアビーホーンスティックを使ってますが、
僕は持ちやすいという事と、安いってこと、そしてプロの靴磨き職人もかっさ棒を使ってる人が多いのでこれを使っています。
かっさ棒の説明はこのぐらいにして、ではなぜこんな物を靴磨きに使うかといいますと、、
少しだけ簡単にコードバン革の説明をします。
コードバン革は牛革のように表革の銀面と裏革の床面の二層構造ではなくて、
一枚の革の裏表を削り落として、革の真ん中のコードバン層と言われる部分だけを使います。
だから裏も表もないんですね。
その削った後の表面の繊維が起毛していて、
いわばスエードのような状態になってるところをこのかっさ棒を使ってグリグリと繊維を寝かしていくんです。
そうして擦り付けることでピカピカに光るコードバンになるんです。
製造過程でもメノウという鉱石を使って鞣す工程があります。
ではお待たせしました。
かっさ棒で擦って行きましょう。

ゴシゴシ。

ゴシゴシ。

横もゴシゴシ。

右足もゴシゴシ。

ちょっと指が疲れてきました。。。
お疲れ様でした。
続きまして

豚毛ブラシでクリームを馴染ませるようにブラッシング。

光ってきましたね。

ジャジャン!
ここで終了してもいいんですけど、
この靴、
かれこれ5年ほど履いるので、コードバンならではの光沢がまだ鈍い。
ということで、
お次は
ワックスを塗ってコードバンらしさを取り戻します。

また、指で。
グリグリ。
薄く全体3度ほど重ね塗り。
今日はコードバンカラーのワックスが家に無かったので、オレンジのワックスで代用します。
そういえば、俺たちのオールデン動画ではこの工程はありませんでした。
ワックスは表面をコーティングするので、
一般的な牛革のようなタンニン鞣しの革だと呼吸が出来なくなるので、
通常は先っぽのトゥ部分と踵の形が入ってるとこにしか塗れません。
しかし、コードバン革はオイルを使って鞣し
さらに顔料で色付けしていくので、
アバウトな表現をすると、
もうすでに革自体は呼吸してないんですね。
ここが牛革との大きな違い。
なんで全体にワックスが塗れるんです。

ワックスを塗り終わると、
コットンの布に少し水分を含ませて、ほんのりワックスを付けて優しく磨いていきます。
すると、どーでしょう。
あれよあれよ、と
ピカピカに光り出したじゃないですか!

キレイ!!
履き込んだエイジング感と相まって、
なんとも言えない顔になりました。
ザ、オールデン。
これこそがコードバン革の醍醐味ですよね。

もっともっとピカピカにするひともいますが、
私はこれで充分。
あんまり鏡みたいに光ると気恥ずかしいじゃなですか。
あー、疲れた、、
では、ビフォーアフターもご覧ください 。


からの


もう別人です。
早く履いてお出かけしたいところですが、
今はステイホーム。
一日も早く皆さんとお会い出来る日を楽しみにしております。
只今、シップスオンラインストアーにて、
オールデン絶賛発売中です。
ぜひ、チェックしてみてくださいね。
長々とお読みいただきありがとうございました。

なんばパークス店 今井
”靴好きを魅了し続ける憧れのブランド「ALDEN」”
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