SHIPS なんばパークス店

2021 16 Aug

秋冬のオーダースーツ生地が入荷しました。ー少しマニアックな話 ー 〜ショップスタッフの徒然日記〜

いつも忙しくさせてもらっています。

 
なんばパークス店の今井です。
 
 
今日はオーダーの話。
 
 
ファーストデリバリーで日本のマーチャントである「MATSUKI」の生地が入って来ました。
 
 
 
 
一部ですがオススメの生地をご紹介したいと思います。
 
 
 
 
因みに生地屋さんにはミルとマーチャントがありまして、
 
ミルとは機屋(はたや)のことで原毛を仕入れ、紡績、染色し、服地を織る製造業者のこと。
 
 
 
 
マーチャントは機屋から製品を買い集めて市場に出すいわば仲買卸売業者のことです。
 
弊社のオーダーでも人気のドーメルは実はマーチャントだったりします。
 
 
 
 
 
あとスーツのトレンドというか昨今の流れですが、
 
大きく二極化している気がします。
 
一つは皆さん夏場にスーツを着る機会がほとんど無くなっていますので、
 
出来れば季節関係無く着れる生地感。
 
ほどほどの生地の厚みで春夏秋冬を通して着れる物のほうが、
 
従来のように春夏用と秋冬用を分けて持つよりも
 
コストパフォーマンスが優れる、
 
という風に考える方が増えたように思います。
 
そこにシワになりにくくストレッチの効いた生地が生地屋さんから多くて出て来ていますので、
 
伸びて快適で動きやすい機能素材の生地が注目されています。
 
 
それとは逆に、
 
特にお洒落に拘りのある方はフランネルなんかの起毛感がある、
 
如何にも暖かそうな冬地で仕立てる傾向にあります。
 
昨今のクールビス化が進んだことによりスーツは冬にしか着ない。
 
ならば秋冬らしいお洒落なスーツを着て気分を上げたい。
 
そんなお声もあります。
 
 
では入ったばかりの「MATUSKI」のバンチからオススメのスーツの生地をご紹介します。
 
 
まずは機能素材から、
 
MATSUKI コンフォートストレッチシリーズ
 
 
 
 
キャバリーツイル風のヴィンテージライクな表情ですが、
 
ウールとポリエステルを半々に混紡した生地で
 
ポリエステル繊維で強度があり痛みにくく
 
かつ形状記憶的に型崩れしにくい素材であり、
 
もちろんシワにも成りにくい。
 
こちらはアクティブにお仕事で動き回る方向け。
 
ネイビーなんですけど、色が良いんですよね。
 
 
続きまして、
 
イタリアのミル「マルラーレン」のエクステンダーというシリーズ
 
 
 
 
ビエラ地方で積極的に天然素材の機能素材を開発しているファクトリーで
 
化繊を混ぜずにウール100%にして15%ほど生地が伸びるという驚異のパワーストレッチ素材。
 
さらに防汚撥水加工により汚れにくく雨の日に濡れてシワくちゃになることもないという、
 
ウールならでは風合いを活かしつつ機能的であるかなり優れた生地です。
 
 
続きまして、
 
オールシーズン着用出来る生地、
 
メゾンブランドの生地も手掛けるイタリアの「アンジェリコ」から
 
フォーシーズンズ  4つの季節で使えるシリーズ
 
 
 
 
丈夫なSuper100'SのTWILLは程良い生地感で年間を通して着用いただけます。
 
 
 
 
目方260gと冬の生地と比較するとなかり軽い生地です。
 
 
 
 
 
続きまして、
 
冬らしい厚手の紡毛感のあるものをご紹介します。
 
 
弊社のオリジナルスーツでも使われている「タリア デ ルフィノ」より。
 
ハニーウェイ CLUB HOUSEシリーズ
 
 
 
こちらはツィードとフランネルの間のような柔らかく優しい風合いの生地。
 
 
このハニーウェイシリーズは素晴らしい生地なんですよ。
 
名前の通り蜜蝋を使って生地を柔らかくして光沢感を与えています。
 
従来の化学薬品を使った一般的な仕上げと比べると、
 
使用する水の量も半分で済み環境にも配慮された素材なんです。
 
そうです、
 
サステイナブル。
 
「タリア デ ルフィノ」は地球環境に配慮した取り組みであるサスティナビリティをいち早く意識し、
 
将来的に良い状態を保つ持続性のある素材作りに取り組んできました。
 
天然素材に拘って生産してきたからこその企業理念がもたらすアイデアですが、
 
自然由来である蜜蝋に目を向けたところが素晴らしいです。
 
 
ハニーウェイシリーズ エアリーフランネル
 
 
 
 
こちらはさらにハニーウェイの風合い尚且つ、
 
とっても軽いのにちゃんとフランネル感があるという理想的な素材感です。
 
 
 
 
蜜蝋によるしなやかな光沢ととろけるような柔らかさ。
 
柄の出かたもイタリア製品ならでは色気を感じる仕上がりに。
 
ネルなのに目方は250gは驚きです。
 
 
 
続きまして英国生地をご紹介します。
 
先の話で二極化した冬素材を好まれる方の中で
 
さらに"通"なお客様には英国生地が人気です。
 
重く硬いのが英国生地の特徴ですが、
 
やはりそのクラシックでありノスタルジックな風合いは魅了されるものがあります。
 
 
 
1946年創業の「ラッシャーミルズ」
 
高級服地の聖地として名高い英国のハダースフィールドにて産声をあげた老舗服地メーカー。
 
産業革命以降脈々と続く伝統的な織物技術が根底にありつつ、
 
最新のイタリアントレンドを融合させた生地が特徴です。
 
 
 
ちょっとマニア好みですがこちら、
 
ヘリテージ 80's ロイヤルギャバジン
 
 
 
 
MATSUKIが80〜90年代に某老舗英国アウターブランドが使用していたクオリティを別注で復刻した生地です。
 
 
 
 
現代でもメゾンから依頼を受けることもある最高傑作のひとつでして、
 
ガシッとした強撚のウール糸を目を詰めて打ち込むことで、
 
綺麗なドレープとウールの弾力を感じることができる生地です。
 
この漲るヴィンテージ感、
 
ぜひ店頭で触って感じていただきたいです。
 
そしてこの張り感はパンツ単品としてもオススメですね。
 
 
続きまして、
 
「ラッシャーミルズ」のキャバリーツイル
 
 
 
 
こちらも同じくヴィンテージ感溢れるツイルの質感はほんとに格好いいです。
 
英国生地らしく目方は340gとほどよくウェイトがあります。
 
 
 
 
続きましてもひとつマニアックな生地、
 
「ラッシャーミルズ」のロンドンシュランク
 
 
 
 
実は生地は織り上げられたらすぐスーツに出来るわけではなくて、
 
 
 
その後にいわゆる"仕上げ"工程を経て生地を整えてから売られていきます。
 
 

 
 
この仕上げ工程で一昔前に有名だったのが「ロンドンシュランク」です。
 
 
 
 
 
一般的な仕上げは「地のし」と言って
 
裁断した生地に濡れた布を当ててアイロンで蒸すことをするのですが、
 
ロンドンシュランクの場合は綿のような布地に水を含ませて、
 
それとウール地を重ねて充分に水分がウール地に行き渡るようにします。
 
そして丸1日位放置してから綿の布地を取り除き、
 
ウールだけにしてまた1日置きます。
 
更にウール地が完全に乾くまで陰干しするという工程です。
 
ウールを含め天然素材は全て水分を含ませると詰まります。
 
この工程を行うことである程度まで目が詰まりますので、
 
その後極端に詰まる事がなくなりますし、
 
目が詰まることによって生地が美しくなる効果もあります。
 
正直とてもめんどうな工程ですが、
 
手間隙掛けて仕上げられた生地はとても美しいのです。
 
1900年代初頭からの技術だそうですが、
 
とってもこだわりと愛情が詰まっていますね。
 
 
 
続きまして、
 
個人的にとても気になる生地で
 
3PLY CLASSIC
 
 
 
 
3PLYとは3本の細い糸を撚って1本の太い糸にした生地のことで、
 
糸全体が太くなり生地になった段階ではザックリとしたやや肉厚なざらっとした触感が生まれます。
 
 
 
 
サヴィルロウのテーラーでも好んで使われるという生地で
 
古めかしいというと語弊がありあますが、
 
 
 
 
なんとも言えないノスタルジックな雰囲気が出るので、
 
服好きにはたまらない生地じゃないかなと個人的には思います。
 
 
続きまして、ようやく最後、、、、
 
って、
 
どんだけオススメあるねん!!!
 
と毎度長くなってすいません。。。
 
 
SOLARO ソラーロ
 
 
 
 
タテヨコで異なる色糸を3/1TWILLで織ることでいわゆる玉虫色、
 
独特な光沢と光の反射や見る角度によって変わるカラートーンを楽しめ生地です。
 
 
 
 
特徴はご覧のように裏表の色が違います。
 
今期はこの生地であえてパンツを作るのがオススメです。
 
ぜひヴィンテージ風にサイドアジャスターにしてタックも2本入れると最高です。
 
 
 
と、長々ご案内してきましたが、
 
まだまだこれから他にもたくさん秋冬の生地が入荷してきます。
 
また店頭でご紹介しますので、
 
皆さまのご来店お待ちしております。
 
ありがとうございました。
 
 
 
 
なんばパークス店 今井