SHIPS なんばパークス店

2024 16 May

二年の時を経て出来上がった究極のサマージャケット ~ベレ兄さんの徒然日記~

いつも忙しくさせてもらっています、

 
なんばパークス店の今井です。
 
 
これからの季節に最適なジャケットが入荷してきました。
 
 
 
 
とっても高級感があり、かっちりとした表情なのに
 
メッシュのような透け感と軽い着心地。
 
エグゼクティブクラスの方にもカジュアルに着こなしたい人にも、
 
自信を持っておすすめしたい、
 
そんなジャケットなんです。
 
 
 
 
わたしもこのジャケットのことがとても気になりまして、
 
その生産背景を深掘りしたく、
 
最近ではYouTubeのSHIPS Channelでもおなじみ、
 
商品企画担当の矢吹に話を聞いてみました。
 
 
今井:
 
矢吹さん、
 
お疲れ様です。
 
このジャケットめちゃくちゃいいなと思って、
 
矢吹さんがこのジャケットを企画した経緯を教えてもらえませんか?
 
 
 
 
矢吹:
 
はい、
 
ありがとうございます!
 
まず自分自身が最近の暑い夏場に着たいと思うジャケットがないな、、、
 
というところからクールビズ文化の浸透で夏の重衣料の販売不振といった背景がある中で、
 
それでもジャケットが必要な方に向けて何か良い製品をSHIPSとして提案したい。
 
その良い製品とは?と問いかけしたときに、
 
自分の中で、
 
見た目にも涼しく清涼感がありシワにもなりにくい、
 
そして扱いも楽。
 
確かに昨今のビジネスシーンにも増えてきたポリエステル繊維の生地だと
 
今言ったような機能面をカバーはできるとは思うんですね。
 
ただそれが機能は良いとしても本質的にお洒落なのか?!
 
という疑問から独自に何か良い生地を作れないか?
 
というところがこのジャケットを開発するに至った経緯なんです。
 
 
 
 
今井:
 
なるほど、、、
 
天然繊維の風合いにどこまでこだわるか、
 
お洒落なお客さまの心を捉えるにはとても大切なことですね!
 
ただ矢吹さん、
 
ひとつ気になったのが生地の混率が、
 
レーヨン・麻・シルクと化繊のレーヨンが使われていて、
 
メンズクロージングでは比較的珍しいと思うんですが、
 
先の話じゃないですけど、
 
天然繊維じゃないのがあれ?ってなったんですが??
 
 
 
 
矢吹:
 
はい、 
 
実はこの生地が出来上がるまでに色んな経緯がありまして、
 
ちょっとその話をさせてもらいますね。
 
まず今回の生地は日本の毛織物の名産地である尾州、
 
愛知県一宮にある「今信毛織」さんと協同で開発していきました。
 
「今信毛織」さんはいわゆるマーチャント的な生地メーカーで、
 
尾州にある様々な工場と契約があり、
 
その織りたい物に合わせてそれが得意な工場を選定して、
 
加工や生産を依頼してくれます。
 
正直、
 
生地の元になる糸の選別から形にしていくという話となると私も素人同然なので、
 
まずこちらからこういった生地を作りたい、
 
風合いや肌触りのタッチ、バランス、
 
そのイメージやニュアンスを工場に伝えるところから始まります。
 
そして次に工場側から提案としてサンプルを織り上げてもらう、
 
これが一連のやり取りになります。
 
今回はリネンとシルクをベースにこだわって開発を進めていったのですが、
 
今回の素材の難点は「撚り糸」と「織り」でした。
 
リネンとシルクで膨らみと表情のある糸を作る為に、
 
経糸(たていと)緯糸(よこいと)共に太さも色も異なる糸を3本撚り合わせ、
 
凹凸の強い糸を作ったんですが、
 
これが大変な作業でした。
 
シルクは柔らかいしリネンは引っ掛かりやすい、
 
厚くなったりカサついたりとドライタッチで硬いとシワにもなるしで、
 
糸同士の滑りや絡み具合の調整が難しく意図した仕上がりの表情を作るのに、
 
何度も何度もサンプルをあげては検証を繰り返しました。
 
ここで先程の話に出たレーヨンなんですが、
 
例えばコットンだとイメージの風合いにならず、
 
リネンとシルクを最適に活かす為に試行錯誤した上でレーヨンに辿り着いたんです。
 
カサつくこともなくて、
 
厚みが出過ぎず風合いも良い、
 
イメージ通りに天然素材の良さを活かす為にはレーヨンがまさにベストな相性だったんです。
 
そして次に混率や番手(糸の太さ)の選定にも時間がかかりました。
 
薄さ、膨らみ、透け感、色味、風合いをトータルで厳選するのに、
 
とことん何度も何度も試し織りの作業を行ってもらいました。
 
苦労したというか、
 
ほんとに工場の方には苦労を掛けてしまいました、、、
 
 
 
 
今井:
 
ここまで話を聞いただけでも大変な作業でしたね、、、
 
今回織り機も特別な物を使っていると聞いていたんですが、
 
どのような織り機ですか?
 
 
矢吹:
 
はい、
 
今回の生地に関しては日本でも数少ない「ションヘル織機」という60年以上前に製造された、
 
いわゆるヴィンテージの織り機で最新式の織り機と比較して1/5程度と非常に遅いスピードで、
 
生産性は良くないですがとても丁寧にゆっくりと織り上げていきます。
 
それはテンションを緩く織ることで柔らかく生地に膨らみを持たせることが可能なんです。
 
今の最新式では表現出来ない魅力です。
 
これだけ複雑な生地になるとその「ションへル織機」でしか織ることができず、
 
さらに専用の機械で調整する必要もあって、
 
「今信毛織」さんが凄いのは、
 
特殊な方法で緯糸を打ち込んでいる途中で経糸を交差させることで、
 
メッシュのような空間というか隙間のある生地が織り上がります。
 
この織りは通常シャツ生地などでよく見られるからみ織りに似た物ですが、
 
 
 
 
これをウールなどの重衣料の生地でも織ることが出来る非常に珍しい生地メーカーです。
 
このションヘル織機とその専用の基盤を持つメーカーは日本で2社しかないらしく、
 
その中で今信毛織さんはいろんなことを試すことが出来る生地メーカーということで、
 
どこで経糸を動かし捻るかで透け感や見た目の表情が変わる為、
 
混率の選定も含めサンプル反の作成を何度もおこなってもらい、
 
気が付けば納得出来る製品が完成するまで2年の歳月を要しました。
 
 
 
 
今井:
 
わーっ、
 
想像以上にかなり壮大なお話でした、、、
 
工場さん的には今回の企画はどうだったんですか?
 
 
矢吹:
 
もちろん嫌々ってわけではなくて、、笑
 
一緒にチャレンジしていきましょう!というスタンスで、
 
実験的というか、
 
色んな事が結果的に試せたということで生地メーカーとしても得れたことがたくさんあったようでして、
 
今回出来た生地をベースにまた変化を加えながら今後、
 
営業で使いたいって言ってました 笑
 
 
 
 
今井:
 
じゃあ、
 
この苦労もウィンウィンで良かったですね 笑
 
普通作られた生地を買って来て生産するだけのほうが楽じゃないですか。
 
でもSHIPSのお客様にもっと喜んでもらいたいという、
 
こだわった気持ち、
 
その物作りの心意気って、
 
単なるオリジナル商品の枠を超えているところにSHIPSって凄いなって、
 
自分の会社ながら思うんですよね。
 
そしてやっぱ妥協を許さない矢吹さんは凄いな!笑
 
ということで、
 
たくさんのお客様にこのジャケットを自信を持っておすすめしていきますね!
 
 
 
 
矢吹:
 
いえいえ、
 
とんでもないです!
 
どうぞよろしくお願いいたします!!
 
 
 
はい、
 
皆さんこのお話を読んでみてどうでしたか?
 
このジャケットに興味を持っていただいた方は、
 
ぜひお店に来られたら一度店頭でご試着してみてください!
 
ほんとに素晴らしいジャケットですから。
 
 
 
ではまたのご来店お待ちしております。
 
ありがとうございました。
 
 
 
 
なんばパークス店 ベレ兄