SHIPS なんばパークス店

2024 06 Dec

「ジャコブソン」はフランス育ちのALDEN 〜ベレ兄さんの徒然日記〜

いつも忙しくさせてもらっています、

 
なんばパークス店の今井です。
 
 
 
「いつからジャコブソンと呼ばなくなったんだろうか?」
 
 
 
先日の新宿店で行われた「ALDEN」のインスタライブをみながらVチップの話が出たとき、
 
ふと、
 
思ったのでした。
 
そう言えば、
 
先日わたしが京都店勤務時代の昔からの顧客さんがなんばパークスに遊びに来てくれた際に、
 
ランチしながらおしゃべりしていた中でも「ジャコブソン」というワードが出てきました。
 
 
 
みんなが今Vチップと呼ぶ、
 
とても個性的な形の「ALDEN」、
 
そのモデルは昔「ジャコブソン」と呼ばれていました。
 
 
115-13-0410
¥209,000 (inc. tax)
 
 
30年以上前わたしがアルバイトで入った当初、
 
色々商品知識を教わる中で、
 
「ジャコブソン」の由来を先輩に聞いた事がありました。
 
昔「ALDEN」社はハンディキャッパーの為の矯正靴を作っていたことから、
 
ニューヨークにあった医療用矯正靴専門店でそのVチップが取り扱われていて、
 
そのお店の名前が「ジャコブソン」だと教わった記憶があります。
 
ただ、
 
もうそのお店はないそうです。
 
 
 
 
そしてこの「ジャコブソン」がハンディキャッパー向けの靴を作っていた名残りだということも教わりました。
 
実際、
 
シルエットは矯正靴特有のアシンメトリックなインサイドストレート、
 
外側に膨らみのあるアウトカーブで自然な歩行を補助し、
 
 
 
 
さらにとても深い土踏まずで甲を持ち上げ、
 
 
 
 
ヒールカップの縁は左右非対称で独特なカーブを描き自然な歩行を妨げません。
 
 
 
 
見た目の癖はありますが機能美からくるとても魅力的な靴です。
 
またこのラスト、
 
「モディファイドラスト」はハンディキャッパー用の矯正靴に、
 
1930年代から用いられていた木型を60年代にモディファイ(改良)したことから、
 
このラスト名になったそうです。
 
因みにあだ名は「ジャコブソン」ですがALDENでの本名は「ALGONQUIN OX」
 
このモデルを「アルゴンキン」と呼ぶ人は相当マニアックですね。
 
 
 
 
そしてこのジャコブソンを語る上で外せないのが、
 
今は無きフランスの伝説のセレクトショップ「エミスフェール」
 
ここのオーナーが蚤の市で見かけた珍しい形の「ALDEN」を自分の店で扱いたいと思い、
 
探して見ると「ALDEN」を扱う一般的な靴屋にはそのモデルがなく、
 
ニューヨークの医療用矯正靴専門店で販売していることを突き止めて、
 
フランスのセレクトショップにファッション用として初めて並べたのが、
 
「エミスフェール」だったという伝説は業界では有名な話。
 
だからフレンチファッションとこの「ジャコブソン」は深い関わりがあったんですね。
 
 
 
 
そしてわたしが昔新婚旅行でフランスに行ったとき、
 
フランスのセレクトショップ「A」にもこのジャコブソンがあったことを記憶してます。
 
当時の雑誌にもこのショップがフランスで「ALDEN 」を扱っているという話をよく載せていて、
 
興味があったのでフランスにいったら覗いてみようと思っていたんですが、
 
実はこのセレクトショップ「A」のオーナーは「エミスフェール」の元オーナーだったんですね。
 
フレンチワークを得意とするショップ「A」ではそのスタイルに「ALDEN」を合わせてるのがめちゃくちゃ格好良くて、
 
その時受けた衝撃は今でも忘れられません。
 
だからわたしの中でも「ジャコブソン」はフレンチのイメージがありました。
 
 
 
 
余談ですが、
 
フレンチを語る上で外せないブランドが「マルセルラサンス」
 
20年以上前までは、
 
業界ではSHIPSといえば「マルセルラサンス」
 
というほど深い関わりがあり、
 
代官山、銀座、名古屋、大阪南船場にSHIPSが「マルセルラサンス」のショップを出していました。
 
実は「マルセルラサンス」でも定番商品として「ALDEN」を取り扱っていて、
 
当時の流行を反映した、
 
少しコバが張っていてつま先がスクエアトゥになっている、
 
レアな「マルセルラサンス」の別注「ALDEN」なんかもありました。
 
そう言えばそこに「ジャコブソン」だけは無かったような、、、
 
という事を思いし、
 
確認のため「マルセルラサンス」の元スタッフだった池袋パルコ店の西川さんと銀座店の山本さん、
 
さらに昔を知る名古屋ラシック店の柿田さんにも当時のお話を伺いました。
 
 
 
 
そしたらやっぱり「ジャコブソン」は扱って無かったと。
 
「マルセルラサンス」ではフランスから見たアメリカをイメージした品揃えで、
 
そのアメリカらしいアイテムを「マルセルラサンス」の商品と組みわせるのがスタイルだったそうです。
 
西川さんの話によるとラサンスさんは「ジャコブソン」は矯正靴だから本来のトラッドじゃないという理由で扱わなかったそうです。
 
わたしの憶測ですがやはり「ジャコブソン」はアメリカではなくフランスであり、
 
「エミスフェール」のもの。
 
っていうラサンスさんの中で敬意と対抗心もあったんじゃないかと勘ぐったりしました。
 
 
 
 
「エミスフェール」も「マルセルラサンス」も同じフランスのブランドなのに「ALDEN」に対してそれぞれ解釈が違っていたところが面白いですね。
 
もう少し掘り下げると「ジャコブソン」のコードバン革仕様を初めて作ったのが「エミスフェール」
 
世界で初めて黒色のコードバンをオーダーした(作ってもらった)のが「マルセルラサンス」だったそうです。
 
それだけ「ALDEN」とフレンチは切っても切れない縁なのでしょう。
 
 
 
 
トリビアだらけですが、
 
「ジャコブソン」はフランス語読み、
 
アメリカでは「ジェイコブソン」だそうです。
 
てっきりわたしは「ジャコブソン」は英語と思い込んでいました。
 
だからやっぱり「ジャコブソン」の源流はフレンチだったということです。
 
いや〜〜、、、
 
深い。
 
 
 
 
この話を踏まえて今度「ジャコブソン」を使ってどんなコーディネートをしようかとワクワクしてきました!
 
って、
 
言いたいとこですけど、
 
こんだけ語って持ってないんですよね 笑
 
持ってる人が羨ましい!!
 
 
ではまたのご来店お待ちしております。
 
ありがとうございました。
 
 
 
 
なんばパークス店 ベレ兄